コラム

【会社法】令和3年3月1日施行の改正会社法について

令和3年3月1日、改正会社法が施行されました。

今回の改正の主な内容は、取締役報酬の決定方針の開示、株主総会資料の電子交付制度の設立、社外取締役の設置義務付けなどです。

 

これまで、多くの上場会社では、株主総会で取締役の報酬総額の上限を定め、(取締役会を介し)代表取締役に個別の報酬決定を一任していたのではないかと思われます。

今回の改正では、大企業ではこの仕組みに手を加える必要があります。

具体的には、株主総会で個別の取締役の報酬を決めない場合、「報酬の決定方針」を決議してこれを開示しなければならなくなりました。

会社側としては、「報酬の決定方針」に、例えば「代表取締役に個別の報酬決定を一任する」と記載すれば、従来の仕組みと実質的に変えないことができます。
もっとも、従来の仕組みに対しては、企業トップが自らの報酬を決める「お手盛り」との批判があったところであり、株主や投資家から低評価を受ける可能性があることに注意が必要です。

株主総会資料の電子提供制度が新たに設けられ、書面の郵送を廃止できる道が開けたことも、重要な改正です。
新型コロナウイルス禍の下、今後、株主総会はWEB(オンライン)開催の方向に大きくシフトしていくのではないかと思われます。

それ以外にも、ストックオプション報酬制度、会社役員賠償責任保険(D&O保険)、会社保障(役員に生じた損害を会社が直接補償する制度)などが新設されました。これらの制度は、今後、導入する企業は増えると予想されています。

上場企業に対し、社外取締役の設置が義務付けられたことも重要な改正ではありますが、改正前から、東京証券取引所の規則(企業統治指針)において社社外取締役の設置が求められていましたので、実務への影響は小さいかもしれません。

改正法の施行は、令和3年3月1日ですので、早いところでは、今月(3月)末が決算期の会社から改正法の対象となります。
6月頃の株主総会に向けて、開示項目の増加等への対応準備を進める必要があります。

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