コラム

【中小企業】身元保証書の有効性についてのごく簡単なまとめ

会社の法務担当者から「この身元保証書(身元引受書)は有効ですか?」という法律相談を受けることがあります。

 

たとえば

「勤続10年の従業員が会社の資金を横領した。

従業員の入社時に、従業員の父親から身元保証書を徴求している。

会社としては、父親に対し横領金額の賠償を請求したいのだが、可能か?」

のようなご相談です。

 

インターネットで「身元保証書・有効」などで検索すると、解説ページがたくさんHITします。

しかし、たいていの解説は先日の「債権法改正」と絡めて書かれているせいか、どうもわかりにくいように思われます。

 

 

私が思うに、身元保証書の有効性については、次のように整理しておけば、ほとんど問題ありません。

 

令和2年(2020年)4月1日より前に締結された身元保証書については、入社から5年間は有効だが、5年過ぎたら失効する。

 

令和2年(2020年)4月1日以降に締結された身元保証書については、保証金額の上限の記載があれば、入社から5年間は有効だが、5年過ぎたら失効する。

 

・・・上記①②の観点で、お手元の身元保証書を読み直していただければ、ほとんどの身元保証書の有効性は、ご自分でもご判断いただけると思います。

文面に「有効期間は5年間」と書かれていなくても、5年過ぎたら失効します。

 

冒頭の例で言えば、横領事件を起こした従業員は「勤続10年」とのことなので、入社時(10年前)の身元保証書はとっくに失効しているでしょう。

よって、会社は、身元保証書を根拠として、父親に対し損害賠償請求することはできないでしょう。

 

なお「保証金額の上限」は、たとえば「従業員の月給●か月分」のように定めることが多いようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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