コラム

社会常識としての独占禁止法㉑ 「排他条件付取引」~特約店契約の落とし穴

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バリューアップジャパン様HPに、拙稿「社会常識としての独占禁止法㉑「排他条件付取引」~特約店契約の落とし穴」を公開いたしました。

本HPではその概略をアップいたします。

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1 排他条件付き取引とは?

「排他条件付き取引」は独占禁止法が禁止する行為(不公正な取引方法)の一つです。簡単に言うと、
「事業者は、取引相手に対し、ライバル会社(他社)と取引しないことを約束させてはならない。」
というルールです。
※ 正確な条文は公正取引委員会の「一般指定禁法」第11項をご覧ください。」

市場シェアの大きな会社が、販売店に対し、ライバル会社(他社)との取引を一律禁止するような約束(「排他的特約店契約」あるいは「専売店制」)をさせた場合、ライバル会社は販売先を失って、市場から撤退せざるを得なくなるかもしれません。

そこで、独占禁止法は、このような特約店契約を「排他条件付取引」と呼び、禁止しています。

 

2 具体例

排他条件付き取引は、「特約店契約」という形で行われることがあります。

公正取引委員会の摘発例として、ベッドメーカーのF社の事件が有名です。

F社は、小売業者に対し、F社の家具や寝具(ベッド)を一定数量以上販売する場合には「みのる会」などのチェーン会に加入し、ライバル会社製のベッドを取り扱わないよう約束させていました。
F社は市場シェアが大きく、小売業者に対しこのような約束を強いることは排他的条件付取引に該当すると判断され、公正取引委員会から排除措置命令を受けました(公取委勧告審決 昭和51年2月20日)。

特約店契約が直ちに独占禁止法に違反するわけではありませんが、注意が必要です。

 

3 セーフな特約店契約とアウトな特約店契約の違いは???

弁護士でも、ある特約店契約がセーフかアウトかは即答できない場合がほとんどです。

一つの目安として、「市場シェア20%以下の事業者による特約店契約、原則として、拘束条件付取引に該当しない」という公取指針がありますが、絶対ではありません。

「どの市場で20%か」という議論がありうるからです。

F社の例で言えば、「ベッド市場」で20%以下でも、「介護ベッド市場」で20%超ということは十分あり得ます。

一般論としては、シェアが大きければ大きいほど、独禁法違反になりやすいと言えます。
しかし、個別具体的な事情が結論に大きく影響し、セーフになることもあるので、難しいところです。

「悩ましい限界事例では、事前に公正取引委員会に相談するべし。」というのが、勘どころかもしれません。

以上

 

 

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