コラム

【不動産】令和2年12月施行 賃貸住宅管理業法(サブリース規制)について

(執筆:弁護士 多田 幸生)


令和2年12月15日、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(賃貸住宅管理業法)が一部施行され、同法によるサブリース規制がスタートしました。

これまで、サブリース事業者による一方的な家賃減額や中途解約がトラブルになっていた状況を踏まえ、サブリース業者に対する契約締結時の説明義務や、誇大広告や不当勧誘の禁止などが定められたものです。

同法の施行に併せて、国土交通省のガイドラインが定められていますので、ご紹介します。

 

2 誇大広告・不当勧誘の禁止
誇大広告や不当勧誘が不法行為に該当しうることは言うまでもありません。
賃貸住宅管理業法は、サブリース事業者に対し、誇大広告・不当勧誘を禁止し、罰則を科すこととしました。

〔誇大広告の例〕
「家賃保証」「空室保証」などの文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にその旨及び借地借家法第32条の規定により減額されることがあることが表示されていない。

〔不当勧誘の例〕
家賃減額リスクや、契約期間中のサブリース業者からの契約解除の可能性、借地借家法第28条の規定によりオーナーからの解約には正当事由が必要であることについて伝えず、サブリース事業のメリットのみを伝える。

 

3 重要事項説明義務・契約書面交付義務

賃貸住宅管理業法は、サブリース事業者に対し、マスターリース契約の締結に際し、オーナー(建物所有者)への重要事項を説明し、契約前及び契約時の書面を交付する義務を課し、義務違反に対する罰則を定めました。

〔説明するべきリスク事項〕

〇家賃減額
・家賃の定期的な見直しがあり、見直しにより家賃が減額する場合があること
・契約条件にかかわらず借地借家法第32条第1項に基づきサブリース業者が減額請求を行うことができること
(ただし、家賃が、経済事情の変動により不相当となったとき等借地借家法上の要件を満たさない限り、減額請求はできないこと)
・オーナーは必ずその請求を受け入れなくてはならないわけではなく、変更前の家賃決定の要素とした事情を総合的に考慮した上で、協議により相当家賃額が決定されること。

〇途中解約について
・契約期間中でも、サブリース業者から解約される場合があること
・借地借家法第28条に基づきオーナーからの解約には正当事由が必要であること

 

4 建設業者や不動産販売業者も規制を受けることの明確化
サブリース業者が、建設業者や不動産販売業者等と連携して勧誘を行ったりすることがあります。
この建設業者や不動産販売業者等も賃貸住宅管理業法の規制を受けることが明確にされました。

 

 

 

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