<説明義務コラム 目次>
1 新築住宅についての説明義務
① 総論・建物の方位・方角 / ② 設備・駐車場 / ③ マンション管理規約・ペット
④ 周辺施設(嫌悪施設) / ⑤ 隣地の状況・日照・通風・眺望
2 建物全般についての説明義務
① 総論・雨漏り / ② ~シロアリ・地盤沈下 / ③ ~排水管・建築確認(違法建築)
3 土地についての説明義務
① 地中埋設物 /
前回のコラムの続きです。
5 排水管についての説明義務
建物の排水管(汚水管・雑排水管など)は、円滑な排水のため、国交省の基準等に従って勾配(傾斜)を付ける必要があります。
例えば汚水管の勾配が十分でない場合、汚水管が途中で詰まって流出するなどの事故が発生する可能性があります。
よって、売主は、排水管の勾配が不足しているときには、一定の範囲で説明義務を負うと思われます。
ただし、排水管は地中に埋設されていることが多いので、中古住宅の排水管の勾配不足は、一見明白ではない場合があります。
東京地判平20.12.19は、売主も仲介業者も勾配不足を認識していなかったという事案について、売主及び仲介業者の説明義務違反を否定しています。
6 建築確認(違法建築)についての説明義務
建物の売買においては、一般に、建築確認を経た適法な建物であることが前提となっています。
よって、建物が違反建築である場合には、売主は、原則として、その旨の説明義務を負います(大阪高判平11.9.30ほか)。
ただし、当該売買契約において、建物が違反建築であるか否かが重要でない場合には、説明義務違反をとわれないこともあり得ます。
東京地判平9.12.25は、建物を解体撤去して建て替える計画のもとに売却されたという事例において、建物が違反建築であることの説明義務を否定しました。