文責:弁護士多田幸生
令和2年6月8日、公益通報者保護法が改正されました。
(追記。執筆時点では施行日は未定でしたが、その後、令和4年6月1日に施行されました。)
(参考)
消費者庁:公益通報者保護法と制度の概要
公益通報者保護制度は平成6年に創設されましたが、制度の対象となる公益通報の範囲が狭く、使いやすい制度ではありませんでした。
そのため、残念ながら、公益通報者保護制度を十分普及させるには至っていません。
今回の改正は、制度の使い勝手を改め、公益通報制度をさらに促進する趣旨です。
主な改正点は次のとおりです。
①退職者と役員を公益通報の主体として追加しました(2条1項)。
②通報対象事実が「過料の対象となる事実」にまで拡張されました(2条3項1号)。
③公益通報者が保護を受けるための要件が緩和されました(3条)。
④公益通報を理由とする公益通報者の損害賠償義務が免責されることが明確化されました(7条)。
⑤事業者及び行政機関における通報への対応体制整備義務が新設されました(11条)。
⑥事業者における公益通報窓口担当者が守秘義務を負うことが明確化されました(12条、11条1項、21条)。
事業者にとっては特に⑤が重要です。
常時使用する労働者が300人を超える事業者は、施行日(令和4年6月1日)までに、内部通報への対応体制を整える必要があります。
私が所属する東京弁護士会には、公益通報相談の窓口があります。私も公益通報相談委員を務めています。
本コラムをお読みの方で、公益通報をお考えの方は、東京弁護士会の相談窓口までご相談ください。