コラム

社会常識としての独占禁止法㊹ ~排除措置命令とその手続について

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バリューアップジャパン様HPに、拙稿「社会常識としての独占禁止法㊹ 排除措置命令とその手続について」を公開いたしました。

本HPではその概略をアップいたします。

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画像出典:公正取引委員会「独占禁止法違反被疑事件の行政調査手続の概要について(事業者等向け説明資料)」

 

1 排除措置命令とは

公取委は、行政調査の結果、違反行為が行われたと判断したときは、事業者に対し「排除措置命令」を下します。
排除措置命令とは、違反行為を速やかに排除するよう命ずる行政処分です。

 

<排除措置命令の具体例>

⑴ A社、B社、C社、D社及びE社(以下「5社」という。)は,それぞれ,次の事項を,取締役会において決議しなければならない。
ア 本件合意(筆者注:談合の合意)が消滅していることを確認すること。
イ 今後,相互の間において,又は他の事業者と共同して,航空会社向け制服について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に販売活動を行うこと。

⑵ 5社は,それぞれ,前記⑴に基づいて採った措置を,自社を除く4社及び航空会社に通知し,かつ,自社の従業員に周知徹底しなければならない。 ⑶ 5社は,今後,それぞれ,相互の間において,又は他の事業者と共同して,航空会社向け制服について,受注予定者を決定してはならない。

2 排除措置命令の手続

(1)意見聴取手続の通知

排除措置命令に先立ち、意見聴取手続が実施されます(独禁法49条)。
まず、公正取引委員会は対象事業者に対し意見聴取手続についての通知書を発送します。
通知書には、予定される排除措置命令の内容、公正取引委員会の認定した事実・法令の適用、事実を立証する証拠の標目、意見聴取の期日・場所などが記載されています。

(2)期日前

通知を受けた事業者は、証拠の閲覧・謄写(コピー)を行うことができます(独禁法52条)。ただし謄写については、できる証拠に制限があります。
事業者は、意見聴取に関して、弁護士等の代理人を選任し、書面で公取委に届け出ることができます。
事業者は、期日前に陳述書・証拠を提出することをもって、期日への出頭に代えることができます(独禁法55条)。

(3)意見聴取期日

意見聴取官(公正取引委員会が事件ごとに指定する職員)が意見聴取期日を主宰します。
この意見聴取官は、当該事件の審査に従事した者以外から選任されることになっています。
期日では、冒頭、審査官等から、予定される命令の内容や公正取引委員会の認定した事実などについて説明がなされます。
これに対し、事業者は、意見陳述や証拠提出などができます。

(4)調書と報告書

意見聴取の終結後、意見聴取官は、期日経過をまとめた「意見聴取調書」と、事件の論点を整理した「意見聴取報告書」を作成し、事業者に通知の上、公正取引委員会に提出します。
通知を受けた事業者は、「意見聴取調書」と「意見聴取報告書」を閲覧することができます(独禁法58条5項)。

(5)公正取引委員会の議決

意見聴取後、公正取引委員会の委員による議決によって、排除措置命令が決定されます。
議決の際は、前述の「意見聴取調書」と「意見聴取報告書」の内容が参酌されます。

3 排除措置命令に対する不服申し立て(訴訟)

排除措置命令に不服がある場合は、行政事件訴訟法の定めるところによって、抗告訴訟(処分の取り消しの訴え)を提起して、争うことができます。
抗告訴訟を提起できる期間(出訴期間)は、処分があったことを知った日から6カ月以内または処分の日から1年以内に制限されています(行訴法14条)。

参考:公正取引委員会「公正取引委員会の意見聴取に関する規則

以上

 

 

 

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