不動産実務に慣れた方でも、「メガネ地」をご存じの方は少数かもしれません。
「メガネ」地とは、公図において、道路、水路、国有畦畔などを挟み、線で結ばれた2つの土地のことを言います。
<メガネ地のイメージ>
本来、一筆一所有権の原則からして、一筆の土地は、図面上も一区画に作図されるのが原則です。
ところが、地方によっては、明治・大正・昭和初期頃、一筆の土地が道路、水路、国有畦畔などを挟んで(飛び地として)存在することが、行政慣行により認められていた場合があります。
そのようなときに、上記のような〇-〇印(「メガネ印」と呼ばれます。)、あるいは|-|印(「ひっかけ印」と呼ばれます。)で結び、飛び地が一筆の土地であることを公図に示したのです。
<古い行政慣行の例>
大正5年6月札幌税務監督局決定「土地台帳附属完成図調整心得」
「道路、河川等ヲ挟ミタル一筆地ハ朱ノ ○-○ 印ヲ以テ同一地番ナルコトヲ表示スルモノトス」
このような行政慣行はとうに廃止されていますので、新たにメガネ地が発生することはありません。
現在存在するメガネ地は、基本的に、明治・大正・昭和初期に由来するもののと思われます。
現代ではこの慣行を知らない人がほとんどと思われますので、不動産の売買取引などの際にトラブルの元になる可能性は少なからずあります。
もし可能であれば、土地家屋調査士に依頼し、土地を2つに分筆するなどして、メガネ地を解消しておくのが良いと思われます。