コラム

【不動産】新築住宅についての説明義務③  ~マンション管理規約・ペット

文責:弁護士 多田幸生

 

前回のコラムの続きです。

 

6 マンション管理規約に関する説明義務

初回のコラムに書いたとおり、新築住宅の売主は一般に宅建業者であり、重い説明義務を負っています。

そして、マンション管理規約(マンション管理組合規約)は居住者の生活を制限する重要な事項であることに加え、売主(宅建業者)は事実上その作成に深くかかわっています。

よって、新築マンションの売主は、マンション管理規約についても一定の範囲で説明義務を負います。

マンション管理規約は、売買契約の時点では定まっておらず、草案(予定規約)しかないということも多いと思われます。

この場合、売主は、当該草案(予定規約)についての説明義務を負います。

 

7 ペットに関する説明義務

マンション管理規約との関係で、最近特に重要なのが、ペットに関するマンション管理規約です。

近時はペットブームが続いており、「ペット不可」のマンションより、「ペット可」のマンションの方が売りやすいと言われます。

中古マンションでは、「ペット不可」だった管理規約が「ペット可」に変更されることもしばしばです。

同じことを新築マンションでしてしまうと、説明義務違反の問題を生じます。

大分地判平17.5.30の事例では、売れ行き不振のマンションにおいて、当初は「ペット飼育不可」としていた管理規約の草案を、途中から「ペット飼育可」に変更して販売したという事例において、「ペット不可」との説明を受けた購入者と「ペット可」との説明を受けた購入者の両者に対する説明義務違反が認められました。

安易な草案変更は慎むべきといえるでしょう。

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