1.マンション関係法について
令和7年5月23日、老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第47号)が成立しました。この法律は、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」といいます。)、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43号。以下「被災区分所有法」といいます。)、国土交通省が所管するマンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号)等(以下、これらを総称して「マンション関係法」といいます。)を一括して改正するものとなっておりますが、このうち、区分所有法及び被災区分所有法の改正に関する部分については、令和8年4月1日から施行されます。
2.改正の背景・必要性
マンションは国民の1割以上が居住する重要な居住形態です。しかし、建物と居住者の「2つの老い」が進行しており、外壁剥落等の危険や集会決議の困難化等の課題が深刻化するおそれが高まっています。そこで、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化等を図ることが必要となりました。新たな改正法における再生の円滑化の推進として、建替えの円滑化、区分所有関係の解消・再生の円滑化、団地の再生の円滑化、があげられます。
3.建替えの円滑化
(1)建替え決議の要件緩和【区分所有法第62条第1項、第2項】
ア.これまでの課題
建替え決議の多数決要件(4/5)を満たすのは容易でなく、必要な建替えが迅速に行えていませんでした。
イ.改正内容
所在等不明区分所有者の決議の母数からの除外に加え、原則的な多数決割合は現行規定(4/5)を維持しつつ、 一定の客観的事由がある場合には多数決割合を3/4に引き下げます。
次の(ア)~(オ)のいずれかに該当すると客観的事由がある場合にあたります。
(ア)耐震性の不足
(イ)火災に対する安全性の不足
(ウ)外壁等の剝落により周辺に危害を生ずるおそれ
(エ)給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
(オ)バリアフリー基準への不適合
(2)建替え決議がされた場合の賃貸借等の終了【区分所有法第64条の2~第64条の4】
ア.これまでの課題
建替え決議がされても、賃借人の同意がない限り専有部分の賃貸借等は終了しないため、建替え工事の円滑な実施を阻害していました。
イ.改正内容
建替え決議がされた場合に、金銭補償を前提として賃貸借等を終了させる制度を創設されました。
4.区分所有関係の解消・再生の円滑化
(1)多数決による建物・敷地一括売却や建物の取壊し等【区分所有法第64条の6~第64条の8】
ア.これまでの課題
建物・ 敷地一括売却や建物の取壊し等を行うには、区分所有者全員の同意が必要であり、事実上困難でした。
イ.改正内容
建替えと同等の多数決による(※)1①建物・敷地の一括売却、②建物を取り壊 した上での敷地売却、③建物の取壊し、を可能とする制度を創設されました。
※1 原則4/5・一定の客観的事由がある場合3/4
(2)多数決による一棟リノベーション工事(建物の更新)【区分所有法第64条の5】
ア.これまでの課題
既存躯体を維持しながら全ての専有部分を含む建物全体を更新して、実質的な建替えを実現する「一棟リノベーション 工事」が技術的に可能になっているが、区分所有者全員の同意が必要であり、事実上困難した。
イ.改正内容
建替えと同等の多数決(上記※1)による一棟リノベーション工事(建物の更新)を可能とする制度を創設されました。
5.団地の再生の円滑化
(1)一括建替え決議の要件緩和【区分所有法第70条第1項、第2項】
ア.これまでの課題
団地内建物の一括建替え決議の全体要件(団地全体の4/5)・各棟要件(棟ごとの2/3)を満たすのは容易でなく、必要な一括建替えが迅速に行えませんでした。
イ.改正内容
(ア)全体要件の緩和
全ての建物に一定の客観的事由がある場合には全体の3/4に引き下げます。
(イ)各棟要件の緩和
いずれかの棟で建替えに反対する者が1/3を超えない限り、一括建替えができます。
(2)一部建替え承認決議の要件緩和【区分所有法第69条第1項、第8項】
ア.これまでの課題
団地内の一部建物の建替えの際の敷地共有者による建替え承認決議の要件(3/4)を満たすのは容易でなく、必要な建替えが迅速に行えませんでした。
イ.改正内容
替え対象の建物に一定の客観的事由がある場合には2/3に引き下げます。
以上

