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バリューアップジャパン様HPに、拙稿「社会常識としての独占禁止法㊻ インボイスは独禁法違反に要注意!!!①」を公開いたしました。
本HPではその概略をアップいたします。
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公正取引委員会「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」(令和4年3月8日改正版)
1 免税事業者について
インボイス制度に伴う独禁法違反は、免税事業者と免税事業者の取引相手に係わる問題です。
「免税事業者」とは、簡単に言えば、売上高が少ない(課税売上高1000万円以下)ために消費税の納税義務を負わない事業者のことです。全国に約500万者(社)あると言われています。
インボイス制度に伴う独禁法違反は、全国500万者の免税事業者だけでなく、その免税事業者と取引する取引相手に係わる問題です。
今、このコラムをお読みの事業者様が免税事業者でない場合でも、免税事業者と取引しているのであれば、問題となりえます。
2 インボイス制度が免税事業者に与える影響
インボイス制度の導入は、免税事業者の事業に多大な影響を与えます。
なぜなら、免税事業者は、消費税を納めていないので、インボイスを発行できないからです。
取引相手(※)からすれば、免税事業者と取引したときだけ、消費税の仕入税額控除ができず、納税するべき消費税が増加します。取引条件が純粋に悪化するわけです。
※ 取引相手が免税事業者である場合と、取引相手が簡易課税制度の適用事業者である場合を除きます。それらの事業者は、インボイスを保存する必要がないので、インボイス制度による影響を受けません。
その結果、次の6つの独禁法懸念事象が頻発すると予想されています。深刻です。
- 取引相手が、免税事業者に対し、(増加税額分に相当する)代金減額を要請(強制)する。
- 取引相手が、免税事業者が取引価格の引き下げに応じないことを理由に、商品(役務の成果物)の受領を拒否したり、受領した商品等を返品する。
- 取引相手が、免税事業者に対し、(増加税額分に相当する)協賛金や役務の負担などを要請(強制)する。
- 取引相手が、免税事業者に対し、(増加税額分に相当する)商品購入を要請(強制)する。
- 取引相手が、免税事業者との取引を停止する(免税事業者ではない業者に乗り換える)。
- 取引相手が、免税事業者に対し、登録事業者になるよう要請(強制)する。
3 ①代金減額要請(強制)は独禁法違反か?
代金減額要請は独禁法に抵触する可能性がありますが、許される代金減額要請もあります。
公正取引委員会のQ&A(前掲)によれば、代金減額が許されるための条件は次のとおりです。
ア 仕入税額控除が制限される分の引き下げであること
当たり前ですが、インボイス導入により取引相手が被る不利益の範囲内にしなければなりません。
なお、インボイス導入後3年間は、急激な変化を緩和するための「経過措置」期間とされており、条件が緩和されていることに注意します。
イ 免税事業者の仕入れや諸経費の支払いに係る消費税の負担を考慮すること
免税事業者も、自らの仕入れや諸経費の支払先に対しては、消費税相当額を支払っていますので、それを考慮する必要があります。
つまり、「ア」で述べた「仕入税額控除が制限される分」を全額引き下げるのではなく、免税事業者の消費税負担を勘案し、引き下げ額を低減する必要があるでしょう。
ウ 免税事業者と取引相手の間で協議を行うこと
には、「取引価格の再交渉」において「双方納得の上で」引き下げることが肝要であり、「再交渉が形式的なものにすぎず、仕入側の事業者(買手)の都合のみで」引き下げることは独禁法上問題がある旨記載されています。
なので、必ず、協議を行いましょう。
エ 今後の取引に係る代金引き下げであること
これも当たり前ですが、発注時に一度定めた代金を、一方的に減額することは許されません。
あくまで、今後の取引についての代金引き下げでなければなりません。
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次回は、2で挙げた独禁法懸念事象のうち②~⑥について、どのような場合に独禁法違反となるかを具体的に説明したいと思います。