1.はじめに
“2026年1月から“下請法”が変わります その1“に引き続き改正事項を紹介します。
2.運送委託の対象取引への追加【新第2条第5項、第6項関係】
(1)改正内容
発荷主が運送事業者に対して物品の運送を委託する取引を、本法の対象となる新たな類型として追加し、機動的に対応できるようにする。
(2)改正理由
発荷主から元請運送事業者への委託は、本法の対象外(独占禁止法の物流特殊指定で対応)である。
立場の弱い物流事業者が、荷役や荷待ちを無償で行わされているなど、荷主・物流事業者間の問題(荷役・荷待ち)が顕在化している。
(3)条文
(定義)
第二条
5 この法律で「特定運送委託」とは、事業者が業として行う販売、業として請け負う製造若しくは業として請け負う修理の目的物たる物品又は業として請け負う作成の目的たる情報成果物が記載され、記録され、若しくは化体された物品の当該販売、製造、修理又は作成における取引の相手方(当該相手方が指定する者を含む。)に対する運送の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。
6 この法律で「製造委託等」とは、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託及び特定運送委託をいう。
3.従業員基準の追加【新第2条第8項、第9項関係】
(1)改正内容
実質的には事業規模は大きいものの当初の資本金が少額である事業者や、減資をすることによって、本法の対象とならない例がある。
本法の適用を逃れるため、受注者に増資を求める発注者が存在する。
(2)改正理由
適用基準として従業員数の基準を新たに追加する。
具体的な基準については、本法の趣旨や運用実績、取引の実態、事業者にとっての分かりやすさ、既存法令との関連性等の観点から、従業員数300人(製造委託等)又は100人(役務提供委託等)を基準とする。
4.面的執行の強化【新第5条第1項第7号、第8条、第13条関係】
(1)改正内容
事業所管省庁の主務大臣に指導・助言権限を付与する。
中小受託事業者が申告しやすい環境を確保すべく、「報復措置の禁止」の申告先として、現行の公正取引委員会及び中小企業庁長官に加え、事業所管省庁の主務大臣を追加する。
(2)改正理由
現在、事業所管省庁には調査権限のみが与えられているが、公正取引委員会、中小企業庁、事業所管省庁の連携した執行をより拡充していく必要がある。
事業所管省庁(「トラック・物流Gメン」など)に通報した場合、本法の「報復措置の禁止」の対象となっていない。
5.まとめ
今回の下請法の改正は、約50年ぶりの大幅な見直しであり、ご紹介した改正内容は、いずれも対象となる企業に大きな影響を与える変更となります。事業者は自社への影響を確認して対応を検討し、持続可能な取引関係を築いていきましょう。

