新型コロナウイルス状況下の賃料交渉について、思うところがあり、久々に筆を取りました。
それは、助成金に関する十分な知識がないままに、無駄にケンカしていると思われる例が多いことです。
おそらく、助成金に関する情報が各所に散在しており、特に区や市町村単位の援助制度は逐一把握することが難しいからであると思われます。
賃料減免は、賃借人(テナント)側はもちろん、賃貸人(オーナー)側も助成金・給付金を受けられることがあります。
その知識があるだけで、無駄な争訟を避けられるかもしれません(特に港区と新宿区の場合)。
以下に、賃料の減免について、押さえておくべき助成金・給付金・税務措置について書きますので、参考にしてください。
まず、経済産業省の「家賃支援給付金」を押さえましょう。
賃借人(テナント)のための制度です。
要件は持続化給付金などに類似です。
一定期間休業していたレストランなどであれば、まず間違いなく利用できます。
最大600万円(個人事業主では300万円)の給付金がもらえますから、とても大きな制度です。
家賃支援給付金コールセンター 0120-653-930
賃貸人(オーナー)のための制度は、少ないですが、重要です。
港区と新宿には、区内に所在する建物等の賃料減免助成金があります。
なんと、減免額の2分の1の助成金を受けることができます。
なぜ港区と新宿区だけ例示したかと言うと、港区と新宿区以外の区には助成金がないからです。これ重要!!!
賃貸人は、賃料を減免した場合、税務上の優遇措置を受けられます。
まず、減免した賃料を損金として計上することが可能です。
(取引先等の復旧支援のための賃料減額である旨の書面作成等が必要です。)
次に、建物及び償却資産(設備等)の固都税が、減免幅に応じ、ゼロ又は1/2となります。
以上のような助成金や税務措置を踏まえないで、賃料の減免交渉を論じることは、ほとんど無意味です。
特に、港区と新宿区の場合は、賃借人(テナント)が得る助成金と、賃貸人(オーナー)が得る助成金を足せば、お互いの損失をかなりカバーできるので、ほかの区よりも交渉が円滑に進むはずです。