<説明義務コラム 目次>
1 新築住宅についての説明義務
① 総論・建物の方位・方角 / ② 設備・駐車場 / ③ マンション管理規約・ペット
④ 周辺施設(嫌悪施設) / ⑤ 隣地の状況・日照・通風・眺望
2 建物全般についての説明義務
① 総論・雨漏り / ② ~シロアリ・地盤沈下 / ③ ~排水管・建築確認(違法建築)
3 土地についての説明義務
① 地中埋設物 /
今回から、土地についての説明義務(違反)について述べていきます。
1 地中埋設物(障害物)
地中埋設物(障害物)とは、売買される土地の地中に埋まった状態で残置された物を言います。
従前建物の基礎杭、埋設管、建築廃材(ガラ)、戦中の防空壕など様々な地中埋設物が存在します。
例えば、買主が建物を建てるつもりで土地を購入し、建設中に地中埋設物が判明した場合、買主は工事計画を変更せざるを得ず、出費(損害)を強いられます。
よって、売主は、地中埋設物(障害物)について、一定の範囲で説明義務を負います。
売主が、地中埋設物の存在を知っており、かつ、買主が建物を新築する目的で土地を購入することを知っていた場合には、売主は地中埋設物についての説明義務を負います(東京地判平23.1.20)。
売主が、地中埋設物の存在を知らなかった場合でも、売主が従前建物を建て、その後取り壊したという場合には、地中埋設物が残置されているか否かについて、第一次的な社会的責任を負います。
このような場合には、売主は関連する事実関係についての説明義務を負い、これを怠った場合には説明義務違反を問われます(東京地判平15.5.16)。
ただし、買主の購入目的も重要です。
建物建設目的での購入の場合、地中埋設物についての説明義務(違反)を問いやすいと思われます。
建物建設目的での購入ではない場合には、地中埋設物が存在しても、目的のために何の支障もないということもありえます。その場合、説明義務(違反)を問えない可能性があると思われます。